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最初に年齢による衰えを感じたのはどんな時ですか?
このアンケートでは、目の衰え、歯の衰え、性機能の衰え、もの忘れが頻繁、これらが多くを占めます。ここで注目していただきたいのが、年齢、加齢の「齢」という字には「歯」が使われていることです。昔の人は歳を重ねることによる変化の象徴として「歯」を選んだのです。現代人のお口の中を見てもそれは間違っていなかった・・・。残念ながらそれが現実です。
自分の歯がたくさん残っているお年寄りは、少ない人に比べて、医療費が少ないという統計が出ています。これは、身体が元気であることを指しています。
また、80歳の人を対象にした統計からは、歯がたくさん残っていて、よくかめている人は、生活の質および活動能力が高く、運動・視聴覚機能に優れていることが明らかになっています。このようにかむこと以外にも、私達は歯からの大きな支えに依存しています。
人体に外敵が侵入しやすい入り口がいくつかあります。その入り口で最も大きく、そして侵入を許す頻度が最も多いのが口です。風邪のウィルス、インフルエンザ、肺炎、コレラなど口から侵入する病原体は非常に多いのです。そのため、口にはそれなりの防御機構が備わっています。その最たるものが唾液です。
唾液の抗菌力で、口の中で繁殖しようとする悪い細菌やウィルスを少なくしてくれます。唾液の分泌量が少ないと歯周病やむし歯にもなりやすくなります。
この他にも唾液に含まれるアミラーゼという消化酵素が糖分を分解して、胃腸の消化と吸収を助けます。また、唾液は小さな分子構造をしているために細部まで入り込んで、細菌やその毒素、食べカスなど、口の中を洗い流して綺麗にしてくれます。また、食後に酸性に傾いた口の中の環境をほぼ中性から弱アルカリ性に戻し維持しているのは、唾液の緩衝作用のおかげです。緩衝能力が高ければ、酸性の食物や炭水化物を摂った後も変化は短時間の内に解消されます。むし歯がむし歯菌の出す酸により起こることは知られていますが、この酸を中和してくれるのも唾液の働きです。
このように私たちは唾液からたくさんの恩恵を受けています。唾液の分泌が少なくなるドライマウスでは、免疫力が低下し病気にかかりやすい弱い体になってしまいます。唾液の分泌量を増やすには、脳の唾液中枢を刺激することと、唾液を分泌する唾液腺を刺激することです。さらに直接唾液腺を刺激する方法、それは何といっても「かむ」ことです。
かむ行為は脳の中枢部である脳幹から指令を受けたリズム性のある筋肉の運動です。あごを閉じる、食べ物がつぶれる、あごを開ける、舌と頬が歯に食べ物を再度乗せる、またあごを閉じる、という具合に一連の運動をまるで高度にプログラムされたコンピューターのように自動的に、さらにそれを無意識の内に行ってくれます。その上視覚による認識や歯に食物が触れた感触が脳に伝わり、食べ物の大きさや固さなど種類によってあごを閉じる角度や方向、かむ力を無意識に脳が判断して変えているのです。右で数回噛めば、今度は反対の左に食物を移動させ、さらにかむ、こうして左右を移動させながら食物を段々小さく、そして水分と混合させながら飲み込める状態にしていきます。
これを無意識で行う私達人間ってすごいと思いませんか?
このような「かむ」という複雑な運動を無意識で行う行為は、脳、神経、筋肉、歯、粘膜、唾液、いろんな役者のみごとなコンビネーションです。裏を返せば、これらのどこかに異常があると成り立たない行為であり、またこれらを無意識で使う=鍛えることでもあるのです。これは脳をはじめとした身体の、手軽な毎日のアンチエイジングです。
このようにかむことは、健康の維持だけでなく、生活の質、老化やアンチエイジングとも関わりのあることです。なんとか噛めればいいという単純なものではないのです。このように『噛める』と『歯』そして『唾液』が歯科領域での質の高い豊かな人生、アンチエイジングのキーワードなのです。
その「かむ」という行為には歯が必要です。
歯を守り、維持していくことが豊かな人生には欠かせないキーポイントです。
なんといっても食べることは楽しいことですから、人生の最大の喜びを大切にしたいものですね。食事も単に栄養素だけの問題ではありませんので、かむことの意義を再認識しようではありませんか。
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