歯と運動1 / 医院ブログ

当院ホームページの歯ニュースで以前に、糖尿病の検査項目であるHbA1cが運動療法によって低下したり、1週間に3時間以上早足ウォーキングを行うと前立腺ガンの進行リスクが半分以下に低下することをお話ししました。
歯科の立場から肥満や生活習慣病のお話しをするのは、歯周病が生活習慣病の一つであるだけでなく、人の体は一物一体としてつながりをもっていると私は考えているからです。

現代の西洋医学は臓器別医療の形態をなしていますが、東洋医学的な身体全体の視点が必要ではないかと思っています。事実歯周病と糖尿病との関係は強く、糖尿病が歯周病のリスクとなり歯周病が糖尿病のリスクとなることがわかっています。

歯を失う2大疾患がむし歯と歯周病です。学会ではまだ認められた説ではなく私見ですが、これらの病気には歯にかかるストレスと循環障害が背景の一部にあるのではないかと考えています。

歯と運動2むし歯 / 医院ブログ

むし歯は原因菌の出す酸によるものです。そのために細菌の栄養源となる食べカスを残さないように歯磨きをし、プラークと呼ばれる細菌の塊をハブラシで取ることを予防の第一としています。原理から考えれば、細菌が酸を産生するまでの24時間以内に完璧にそれをこなせばむし歯にはなりません。

しかし私を含め多くの方々にはそれは無理だと思えるのです。毎日毎日一日も欠かさず完璧な歯磨きができるとは思えないからです。歯磨きに長い時間を使って歯の隙間や細かな溝に至るまで口の中隅々まで完璧に、さらにそれを来る日も来る日もむらなく継続しなければならないことを一体どれだけの人が長い年月実践し続けられるでしょうか?

日常80点や90点は取れますし時に100点も取れますが、それがいいことだとわかっていても毎日100点取らなくてはいけないと思う気持ちが重く感じるのが普通だと思います。

またそれを困難にする別な理由もあります。歯にかかる力が強大であったり頻繁に強い力がかかることによって目に見えない微細なヒビが歯に入ってそこに細菌が入り込んでむし歯を作る可能性があります。
そんな微細なヒビにまでハブラシの毛先は入らないからです。
このように歯にかかるストレス(負荷)が原因でむし歯になることもあると私は考えています。

歯と運動3むし歯 / 医院ブログ

歯のストレスによるヒビと100点を取れなかった日のためにフッ素の併用をお勧めします。歯の表面で300ppm以上のフッ素が2分以上作用することでむし歯の発生を抑制できます。

フッ素利用が進んだ諸外国では、むし歯の発生率が日本よりかなり低くなっています。
しかし日本は諸外国と比べて歯磨き剤のフッ素配合割合が1000ppm以下に低く規制されています。
必要な量のフッ素を歯面に作用させるためには、歯磨き剤にして2g程度、ハブラシに2cmほどの長さが必要ですが、市販のものでこの量を使えば香料などの刺激が強すぎるので私は別なものを使用しています。
医院で取り扱っておりますので、ご興味のおありの方は受付までお申し出ください。

歯と運動4むし歯 / 医院ブログ

あなたの周りによく歯磨きをしているのにむし歯になりやすい人や、あまり歯磨きをしていないのにむし歯になりにくい人はいませんでしょうか。
この話からむし歯の発生に歯磨きは関係ないんじゃないか?
と思いませんか?
あなたは遺伝子の違いでこの差が生まれたと思われますか?

全く同じ遺伝子を持った一卵性双生児でこの差が出たり、むし歯にかかりにくかった人にある時期から急にむし歯が多発する事実を遺伝子では説明できません。その逆に同じ人がある時期からむし歯にならなくなるも同じです。
何か他の要素が関係しているのです。

この両者の違いは、口の中に存在するむし歯原因菌の質と量の違いだと私は考えています。
むし歯予防に歯磨きは一定の効果はあるでしょうが、それだけではないと考えているのです。
歯科界一般ではまだ「むし歯の予防には歯磨きが一番!」と叫ばれています。
そういう意味では現段階では私の意見は非常識かもしれませんが、
むし歯原因菌の遺伝子を調べた北欧の研究ではこのことが証明されています。

歯と運動5むし歯 / 医院ブログ

むし歯予防のためにフッ素以外にもう一つお勧めすることがあります。
それはキシリトールです。
前にお話ししたむし歯原因菌の量をかなり減らしてくれます。
さらにキシリトールを取り込んだむし歯原因菌は酸を出せなくなりむし歯が発生しないのです。ただし市販品は少しでも含まれていればキシリトール入りと書かれています。
100%キシリトールの商品をお使い下さい。
ロッテが歯科医院向けに販売しているガムを私も愛用しています。

巷には口の中の殺菌とのうたい文句で売られている商品もありますが、
強い消毒薬を使って一時的に細菌数を減らしても10分もすれば元通りになってしまいます。
それほど細菌の繁殖力は強く早いのです。

さらにピリピリと刺激の強い洗口剤の中にはアルコールが含まれていることがあり、一時的な殺菌効果より唾液の分泌が減るマイナスの方が大きいと考えています。
歯の修復や殺菌効果、酸性に傾いた口の中をアルカリ性に戻してくれる緩衝性、口臭予防などの唾液の恩恵が少なくなることが問題です。

また抗菌、抗菌と叫んで身の回りの細菌を殺しても、そこに別の病原菌が新たに入り込む余地をつくることになります。
なぜなら悪さをしない細菌がいてくれると細菌同士の縄張り争いで病原菌のつけ入る隙がないからです。

口の中は高温多湿で細菌の最も好む環境ですから、土台無理な何もかも消毒してしまうことを考えるのではなく、毒を持って毒を制するに近い考え方です。
悪さをする細菌だけを減らすか、働かせなければいいのです。それがキシリトールの力です。
ただし歯周病予防には歯磨きは欠かせませんのでご注意を。

歯と運動6むし歯 / 医院ブログ

歯にストレスがかかると歯に微細なヒビが入りむし歯の原因になることを前にお話ししました。
ではなぜ歯にストレス(負荷)がかかるのでしょうか?

この原因の多くが食いしばりや歯ぎしりなどです。
硬いものが好きだからではありません。
歯はそんなにやわにはできていません。
一日の食事の時間、特に歯同士が接触している時間を全部足してみても大した時間にはなりません。それ以外の時間の方が圧倒的に長いのです。

その一日の大半の時間に食いしばりや歯ぎしりなどの強大な力が発生するとむし歯になったり歯を壊すのです。不快や精神的ストレスなど心の負荷から回避軽減するために脳がこうした行為をさせると私は考えています。

この心のストレスを回避する一つの方法が適度の運動です。
体をいじめる運動でなく、運動後の気持ちよさと達成感や充実感を味わえる適度な運動です。
運動によって脳から快感ホルモンと呼ばれるβエンドルフィンやドーパミンなどが放出され、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾルが減少します。
運動は身体と心、そして歯にとてもいいことなのです。

歯と運動7歯周病 / 医院ブログ

食いしばりや歯ぎしりなど歯に許容以上のストレス(負荷)がかかると、その強大な力は歯を介して歯根膜という歯と骨をつなぎとめている組織にかかります。

皮膚を強く圧迫すれば血液の巡りが悪くなって肌が白くなるのと同じように、歯根膜の血流が悪くなる循環障害に陥ります。
血の巡りが悪い組織が健康でいられるはずもなく、そこに歯周病原因菌の出す毒素が加わって歯肉が下がり腫れて痛み、歯を支える骨が溶けて最後には歯がグラついて自然に抜けてくるのが歯周病の姿です。

ここで注意していただきたいのは、このタイプの歯周病は食いしばりや歯ぎしりをする人だけに起こるのではないことです。歯が抜けたままにしている人や、入れ歯を支えるために針金を引っ掛けた歯、上下の歯のかみ合わせが悪い人などにも同様のことが起こります。
思い当たることがおありの場合は、歯周病の治療だけでなくその状況を改善することが必要です。
それが残った歯の寿命を左右することになるからです。

歯と運動8歯周病 / 医院ブログ

今までのお話しで、食いしばりや歯ぎしりなど歯に許容以上のストレス(負荷)による歯周病治療には原因菌を減らすだけでは不十分なことがお分かりいただけたことでしょう。

しかしご本人も意識して食いしばりや歯ぎしりをやっておられるのではないので、これを根絶するのは容易ではありません。大きく分けて2通りの対処法があります。

一つは無意識の行動による被害を少なくする方法です。
特定の歯に強い力がかかるのを歯にマウスピースのようなものを入れて、その力を分散する方法です。

もう一つはこの無意識の行動を可能な限り少なくする方法です。
食事以外の時間に歯を接触させていないか確認することで、気づいたらやめることを繰り返すことです。
無意識を有意識へと変換させる方法です。悪い習慣の修正ともいえます。

歯と運動9歯周病 / 医院ブログ

むし歯のお話しの中で述べたように、精神的ストレスなどの心の負担が無意識の食いしばりや歯ぎしりを誘発することがわかっています。
ですからストレス管理に努めたり、自分なりのストレスの発散法を手に入れることが大切です。

「歯を食いしばって頑張れ!」といいますが、逆に脳がリラックスしている時は歯の接触はありません。笑っている時がいい例です。歯にも休む時間が必要なのです。

ここでお勧めしたいのが運動療法です。適度の運動が健全な心の維持に効果的なことがわかっています。体を動かした後の爽快感はその代表です。

運動をすれば空腹感がなくなった経験がおありだと思います。肝臓からグリコーゲンが血中に分泌されて空腹感が軽減するので、食べ過ぎ防止にも一役買ってくれます。
メタボリックシンドロームや生活習慣病予防に運動が大切なことはご存じでしょうが、食いしばりや歯ぎしり予防にも、そして歯を支える組織の血液循環障害の予防と治療にも大変有効だと考えています。

原因不明の歯や歯肉の痛みや、表面的な疾患が歯周病でも、実はその陰で糸を引いているのが食いしばりや歯ぎしりだった、そんなことが日常臨床ではごく当たり前にあるのです。

軽い運動で健康に1 / 医院ブログ

「歯と運動」をキーワードにこれまでお話ししてきましたが、運動によって死亡率や糖尿病、高血圧、脳卒中、心疾患などの病気の発症率が下がることはよく知られています。

台湾で最近行われた41万人を対象に平均8年間追跡調査した結果から興味あるデータが読めます。
一週間92分の運動で運動しない人に比べて全死因死亡率が14%低く、平均余命が3年間長くなっています。
そして運動時間の延長に伴い死亡率がさらに下がっていく傾向にありました。

運動をする習慣のない方は、運動というとハードなトレーニングを想像して気おくれしてしましますが、通常推奨されている週150分に満たない運動でも効果があるようです。

歯ニュース 2011/11 … 歯周病・糖尿病と運動

震災の爪痕が深く残る東北にサンマの水揚げがされたニュースを聞いて、こんな大きな災害があろうと律儀にも巡ってくる季節の便りに一抹の安堵感と復興の予感を感じます。
昔からこの時期のサンマは脂が乗ってその塩焼きの家々から立ち上る匂いと煙が日本の秋の風物詩となっています。調べてみると今は定着した秋刀魚の表記は意外と新しく大正時代だそうです。サンマの寿命は1・2年と短く、メダカと同じダツ目という種類に属するのには驚きます。

餌を消化して排出するまでの時間が30分と短いサンマは内蔵にえぐみが少なくはらわたまで食べやすい魚ですが、青魚に多い悪玉コレステロールと呼ばれるLDLを下げ、動脈硬化予防や中性脂肪の減少に効果のあるω3不飽和脂肪酸であるDHAやEPAが豊富です。
何といっても旬でおいしいことと、大衆魚と呼ばれるだけあって安いことが庶民的です。
帰宅に駅からの道すがら、暗がりで見えずとも家々から漂う匂いに空腹を刺激される季節です。

 

■糖尿病と運動

現在成人の80%が罹患し、歯を失う原因の80%を占めるのが歯周病です。歯の寿命を長く、また充実したそして快適な食生活を送る上で決して無関心ではいられない病気です。
さらに歯周病は糖尿病や心臓疾患などの生活習慣病と関わりがあることが最近わかってきました。そのうちに寿命を縮める病気といわれる日が来るのかも知れません。

60日間の平均血清グルコース値であるHbA1cは糖尿病患者の血糖コントロールの評価で使われますが、プログラミングされた運動は、自分で決めて運動するよりも血糖の抑制に効果があることが最近わかりました。運動が血糖値抑制に効果があることは以前からいわれていますが、多くの人にとって自分で一貫性と継続性を持って必要な量の運動を続けることがなかなか難しいのです。

研究リポートでは有酸素運動で0.73%、1週間の運動量が150分以上で0.89%、運動と食事のアドバイスを受けた場合で0.58%、HbA1c(正常値4~6%)が低下しています。
いいことはわかっていても、楽しくないことや楽なことでなければ続かないのが人間です。専門的なプログラムを作ったり、第三者の目を借りたりする工夫が有効なようです。

 高岡 周一

 

 

 

■スタッフの声

秋は、1年を通して特に季節を感じさせてくれる気がします。気持ちが少しだけ、感傷的になるからかもしれません。私の住んでいる地域は、特にキンモクセイを庭木に植えている家が多く、その香りが漂うと秋がきたことを感じます。冬は、早朝の落ち葉を燃やす匂い。春は摘んだヨモギを茹でる時の青々とした草の匂い。夏はなんといっても海の匂い。家が海に近かったので、海水浴にいった時の潮の香りです。
その人それぞれに、季節を感じる香りがあるはずです。四季のある日本に生まれた事を幸せに感じます。余談ですが今が旬の栗でご飯を炊いてみました。とてもおいしかったですよ。

菅野美弥

 

 

■歯科衛生士からのワンポイント情報

メインテナンスの目的は進行した疾患を回復させ、再発を防ぐためだけではなくもともと健康な口腔内を今後も維持していくことにあります。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)をお受けいただくことにより、口腔内の状態を診査し、注意する部分やホームケアでの苦手な点を確認することができます。たとえば、ハブラシのあて方や磨き残しなど分かりやすくご説明いたします。 定期的な検診(レントゲンを撮ったり、歯周病の検査をしたりします)とメインテナンス(PMTCなど歯のクリーニング)をお勧めします。

杉山明美

 

 

 

<<< 編集後記 >>>

今月のコラムに書かれているように、継続的な運動はお口の健康のためにも必要です。私が東京で暮らしてみて良いと感じたのは、東京ではウォーキングやジョギングのしやすいコースが町ごとに設けられていることです。そういったコースは周囲に緑も多く、季節を感じながら楽しく運動できるのではないでしょうか。ご自宅の近くで、お気に入りのコースを見つけてみられるとよいかと思います。

鮫島 連理

軽い運動で健康に2 / 医院ブログ

ではどんな運動が最適なのでしょうか。
その答えは「有酸素運動」です。
有酸素運動とは、身体にある程度の継続した負荷をかけることで体内の糖質や脂肪が酸素とともに消費される運動です。
体重の減少や胴回りが細くなる効果も実証されており、慢性疾患、糖尿病、心疾患やメタボリック症候群の予防効果があります。

健康のための有酸素運動の秘訣は「決して息切れしないようにすること」ですから、
必ずしもマラソンやハードな運動をする必要はありません。早足ウォーキングで十分です。
「今のご自分の体力に合った運動をできる時間だけ行うライフスタイイルを持つこと」、
これがどうやら歯と体の健康の秘訣のようです。

軽い運動で健康に3 / 医院ブログ

ここまでむし歯と歯周病予防に運動が効果的だとお話ししてきました。
ではどんな運動がいいのでしょうか。

このシリーズの書き出しでお話ししたように、私は早足ウォーキングをお勧めします。一人でも、いつでも、どこでもできますし、何も準備することなくできる手軽さ、景色や場所が変われば気分も変わります。

また普通に歩くより消費カロリーはうんと高く、ジョギングなどの強い有酸素運動のように活性酸素の発生が高くなく、膝などへの負担も小さいことがお勧めする理由です。