歯周病と細菌 / 歯周病のお話し P 5 / 17

歯石と呼ばれる歯の表面にこびりついた石のようなものが歯周病の原因と思われている方がいらっしゃいますが、これは正確にいうと誤りです。
その真犯人はプラークやバイオフィルムと呼ばれる細菌の塊です。
歯石はプラークが石灰化して硬くなったものですから、確かに身体にいいものではありませんが、その病原性はプラーク自体よりずっと低いものです。
実は歯石の表面が粗雑になるためにプラークが付着しやすいことの方が大きな問題なのです。

口の中は唾液という水分があり、時折食物という栄養素が運ばれ、体温という適度な温度があります。細菌にとって非常に住みやすく繁殖に適した環境なのです。
こうしたことから口の中には600種類を超える微生物が生息し、唾液一滴にさえ何億もの細菌が生息しています。
歯周病はこの口の中に生息する細菌によって起こる感染症です。
重度の歯周病の人と健康な人の口の中に生息する細菌の種類や量が違うこともわかっています。

その歯周病原因細菌が集まって歯の表面などに塊を作ります。
人が作る町に似ていますが、外敵から身を守るために城壁を張り巡らせるように、細菌は多糖体というねばついた物質で、町全体を城壁だけでなく空までもシールドのように覆います。

こうしてシールドによって抗生物質や消毒薬までも跳ね返す完全に隔離された空間ができるのです。無法者の町ですから中ではやりたい放題、中の細菌は誰に邪魔される心配もなく酸や毒素を撒き散らし、虫歯や歯周病の天下となります。
こうした細菌の町をバイオフィルム(プラークや歯垢)と呼びます。
わずかプラーク1mg(1gの千分の1)中に1千万個以上、東京都の人口に匹敵する数の細菌があり、口全体ではとてつもない量の細菌がはびこっています。

歯周病と闘うには、まずこれをやっつけなければいけないことがお分かりいただけるでしょう。喫煙や糖尿病など、この後で述べる他の因子が加わり因子の数が多いほど歯周病リスクは高くなりますが、細菌因子だけでも歯周病は発症します。
このことから細菌因子は、歯周病の重要な基礎因子であるといえます。

しかし風邪の流行でもおわかりのように日常生活において無菌的な生活は不可能です。それは空気と食物の入り口である口の中も同じですが、一方で清掃と管理で細菌の数を減らすことはできます。

人の身体には細菌と闘うための免疫やしくみが備わっていますので、多少のことならそれらに打ち勝つことができます。
またそうした健全な身体を作って維持する必要があり、これがアンチエイジングでもあるのです。この清掃については別ページ「歯磨きのお話し」に述べましたので参照ください。