噛めない弊害 / 歯周病のお話し P 2 / 17

先ほどのお話とは逆に歯を失ったり噛めないことの問題もあります。インプラントを除いて自分の歯の代用品としての入れ歯などは自分の歯ほどは残念ながらかめないことが多いのです。

残った歯が21本より少なくなると、かむ力が大きく低下することがわかっています。
かめない=食べられない、ですから栄養摂取上にも問題ですし、要介護高齢者の日常生活における楽しみの第一位は「食事」で、食欲と言う死ぬまで残る本能を疎外する歯の喪失は無視できないものです。

またかめないことで唾液の分泌量が減って唾液の殺菌力や免疫力が少なくなり、口を含んだ消化器や呼吸器の病気にもかかりやすくなります。
そして歯を失うと、かむ力が残った歯だけに大きな負担をかけることから、残った歯まで悪くなることが非常に多くなり、噛む能力の障害、発音、審美の障害が起こることもあります。

歯や噛み合わせが姿勢制御や全身骨格の一部として身体を支える構造的器官としての役割も指摘されており、噛み合わせ不良と肩こりや頭痛、腰痛などの不定愁訴との関係も取りざたされています。

また、歯の喪失が日常生活上での自信の喪失につながることも多く、外食をふくめて外に出ることに消極的になったり、人前で喋ったり笑うことへの抵抗感を生むこともあり、精神的、社会的障害につながることがあります。
さらに噛むことがアンチエイジングと密接につながっていますので、老化を早めることにもなってしまいます。

そして噛めない、あまり噛まない、食生活になっていることは退化ともいえます。
筋肉は痩せて機能低下し、骨は細くもろくなり、はては免疫力の低下など身体の機能は衰えていきます。生物としての生命力が衰えていくのです。

人間は楽が大好きです。音楽など楽しいことはいいとしても、楽をして負担を減らすことの代償がいっぱいあることもご存知のことでしょう。

このように歯を失うことと噛めないことのデメリットは枚挙の暇がないほどありますが、現時点での問題は日常生活の上で、生活の質(QOL)や日常生活活動(ADL)が低下してしまうことです。
社会生活や文化的な活動を営む上で、歯は不可欠な存在です。
なんとか食べられればいいと簡単な話しでは済まないものなのです。