入れ歯の種類

入れ歯と聞くとなんだか年寄りじみた気がされるかもしれませんが、なくした歯を悔いるより今の現実を実りあるものに変えることの方が大切です。
入れ歯から受ける恩恵をお話ししてみます。



■ 楽しい食生活
歯が抜けた状態では食べ物をよくかむことができないことが多く、そのために柔らかい物や細切れの物が主になるなど食べられるものが限られてきます。

このことだけでもつまらない食生活ですが、一家団らんや他人との食事の際に人の輪の中に入りづらかったり、楽しめなくなります。このために食欲も減退して健康を維持する事にも影響が出てしまいます。
入れ歯を上手に使いこなすことで、おいしく食べ、人の輪の中での楽しみも増えていくことでしょう。


■ 若々しさを保つ
歯が抜けたままにしておくと、口元に張りがなくなりしわが増えてだんだん老人的な顔つきになってしまいます。

口元にまで配慮した入れ歯を入れることで容貌を回復し、自信のある社会生活を送ることができます。
入れ歯はあなたに、食生活と社会生活の張り合いを提供してくれます。


■ 明るい会話がはずむ
発音には歯が重要な働きをしています。歯が抜けたままにしていると、自分ではしっかり発音したつもりでも他人には聞き取りにくくなったり、自分でも喋るのがもどかしく感じることがあります。特に前歯がなくなると息が漏れてこの傾向が強くなります。

こうしたスムーズに進まない会話は、人とのお付き合いの中で障害となります。
入れ歯を入れることでこうした問題を解消できますので、コミュニケーションという大きな社会的な役割を入れ歯は担っています。


■ 残っている歯と歯ぐきを守る
歯が抜けても「まだ他の歯で食べられる」とそのまま放置しておられる方は要注意です。
歯が抜けて数が減っても食べるのは同じですから、残った歯に失くした歯の分まで負担がかかって歯の寿命を短くしてしまいます。 また歯が傾いたり、伸び出してきたりしてかみ合わせが悪くなります。

借金はいつかは返さなくてはなりません。健康の借金は金利が大きくなって返せなくならないうちに行動に移したほうが得策です。歯を放置した分だけ余計に悪くなったものを元に戻すことはできないのです。
今だけ無理をしても、近い将来もっと大きな問題となって返ってきます。 これからも人生は続きます。悪い目は早めに摘んだ方が得なのです。

本来はそこに歯があったのですから、入れ歯で早急にその歯の仕事を補ってあげる必要があるのです。

このように入れ歯の働きは単に噛むことだけではありません。
今だけでなく将来のことも考えていただきたいと思います。



総入れ歯

上下のあご単位で全ての歯をなくされた場合の入れ歯を総入れ歯と呼びます。
入れ歯を安定させるため、針金などを引っ掛ける残った歯がないためにあごの粘膜(土手)の上に乗せただけの入れ歯、すなわち歯に支えてもらえない入れ歯になります。

食べたり、飲んだり、喋ったりした時に動く頬や舌、食物、かむ力などによって入れ歯が動かされる時に、この支えがないことが入れ歯の安定を悪くし、時にはかめない、外れる、痛み、喋りにくいなどの不快感が出ることがあります。

歯の支えのない総入れ歯が口の中に留まっている理由は、頬や舌の動きの邪魔にならないわずかな空間に入れ歯の大きさを納めること、かむ力で入れ歯がずれていかないようなかみ合わせにすること、吸盤の原理を使ってあごの粘膜(土手)とピッタリ合わせて隙間から空気が入り込まないようにすること、などです。
この項目以外にもたくさん必要要件はありますが、実はこのことだけでも口で言うほど簡単なことではないのです。これが入れ歯治療を難しくしています。

総入れ歯の詳しいお話しは、別のページでお話しさせていただきます。

 ≪総入れ歯の詳細はこちら




部分入れ歯の形

■ 上の左右の奥歯をなくされた場合

上の歯をなくしたお口の中の模型の一例です。

主に左右の入れ歯をつなぐ金属の部品の違いです。
左は薄くて邪魔になりくい金属製の板(薄い分強度を出すため面積は広くなります)で、右は多少厚く出っ張りますが幅の狭い金属の棒です。患者さまの好みの問題です。
症例により設計は変わりますので一例です。


それらの入れ歯を模型に入れた状態です。



■ 下の左右の奥歯をなくされた場合

下の歯をなくしたお口の中の模型の一例です。

主に歯に引っかける金具(針金)の違いと、左右の入れ歯をつなぐ金属製の金具の違いです。
左の金具は歯肉にピッタリ寄り添わせて面積を広くしたもので、右は歯肉から少し浮かせた面積の狭い少し太い棒になります。
これら下の前歯の内側に金属性の部品を設置して入れ歯の安定を担わせることが一般的です。
この部品が舌に触れて患者さまに嫌われる頻度が高いのですが、おおむね慣れで解決します。


それらの入れ歯を模型に入れた状態です。


ここまでいくつかの代表的なパターンをお話ししましたが、これらは数ある設計のほんの一例に過ぎません。残っている歯の位置や健康状態、かみ合わせ、個人的な指向やお悩みの問題、ご希望などによって設計は個人個人変わってきます。
あくまでも参考程度にお考えください。



目立たない入れ歯

詳しくは「部分入れ歯の症例とご感想」ページでお話ししますが、一般的には写真のように歯に針金を上から引っ掛けて入れ歯を安定させます。

上から針金がかかっているためにどうしても針金が目立ちますが、できれば針金が見えない方が綺麗です。

特殊な形をした針金を使う事でこの不満を軽減できる事があります。

最初の写真が目立たない針金の入れ歯を入れた状態で、次の写真が入れ歯を入れて口を開けた状態の写真です。
一つ前の症例と見比べてみてください。
細い針金が下から歯に接触しているのがおわかりでしょうか。
一般的な針金を違って歯の表面に金属があまりかからないことと、下からの針金のため目立たないのが特徴です。

  ≪目立たない入れ歯の詳細はこちら



■ 目立たない入れ歯のもう一つが次にお話しするコーヌス義歯です

コーヌス義歯は針金自体がない構造ですので、針金は一切見えません。


針金がなく安定したコーヌス義歯

先にご説明させていただいたように、一般的な入れ歯は残った歯に金属の針金を引っ掛けて入れ歯を安定させます。針金をなくしてしまえば入れ歯は入れてあるだけですから、食べる度にガタガタと動いてかめないだけでなく、歯肉に入れ歯が当たって痛くなるからです。この針金のような安定装置は部分入れ歯に欠かせない物なのです。

このように部分入れ歯には欠かせない安定装置ですが、「見栄えを悪くする」「邪魔だ」というご不満の声も一部にあります。こうしたご不満にお答えするのが次にご紹介するコーヌス義歯です。

針金の代わりに、茶筒のように金属の歯に金属の人工歯をすっぽり被せることで入れ歯を安定させます。
茶筒は前後左右にどちらに動かしても蓋は外れませんが、蓋を引きぬくと外れます。この原理を応用した入れ歯です。


■ 治療手順

入れ歯を支える歯を削って歯型を取ります。
右の写真のように歯に金属製の人工歯をセメントで接着します。これが茶筒の役割です。
金属の歯になりますがこの状態は入れ歯を外した状態で、普段はこの上に入れ歯がかぶりますので金属の歯は見えませんのでご安心ください。

この出来上がった入れ歯を上の写真の口の中に入れ、金属の歯にすっぽり被せます。
入れ歯に組み込まれている人工歯が茶筒の蓋の役割をします。その人工歯で歯に被せた金属の歯は隠れて見えなくなるので、外見上は白い人工の歯しか見えません。

次の写真が入れ歯が入った状態です。この状態で食事をします。
針金が一切なくすっきりとした外見がご理解いただけるでしょうか。


■ 針金タイプの入れ歯と比較した長所
  • 入れ歯の中ではトップクラスの安定性があるため、かむ力でも入れ歯がビクリと動かず入れ歯特有のガタつきがありません。そのため大変よく噛め、食べかすもはさままりにくい入れ歯です。
  • 構造上針金がないため、外見上見栄えがよくすっきりとした口元になります。
  • このように使い心地は入れ歯ではトップクラスで、患者さまの満足度も高い入れ歯です。


■ 針金タイプの入れ歯と比較した短所

  • 上記のビクリとも動かない高い安定性の裏返しで、取り外しに慣れが必要です。
  • 一般的な入れ歯に比べて精密な入れ歯のため、数日間入れ歯を入れておかないと歯が動いてしまって取り外しがきつくなったり、あまり長期化すると入らなくなることがあります。しかし通常は長期間外すことはありませんので短所とは言えないかもしれません。
  • 構造が複雑な上に精密で作製工程が多いため、一般的な入れ歯に比べて治療期間が長く治療費が高くなります。しかし入れ歯自体は作りがしっかりしているため長期間お使いいただけます。
  • 毎日取り外すものですので、茶筒と同じようにに長年使うと金属同士が摩耗して入れ歯が多少ゆるくなることがあります。修理対応がある程度は可能ですが未来永劫とは言えません。



部分入れ歯の症例とご感想

いろいろな部分入れ歯の症例から実際の入れ歯の形やその特徴などをご紹介させていただきます。

入れ歯をお入れになられた方々の生のお声から、治療前や治療後にどう変化したかなど掲載をご了解いただけた実際のご感想を載せさせていただきました。

■入れ歯とインプラントの併用症例
■前歯をなくされた症例
■左右の奥歯をなくされた症例
■上あごに設置する金属部品をなくした入れ歯の症例
■コーヌス義歯の症例

部分入れ歯の詳細はこちら