噛み合わせ

噛み合わせが合わない子供

かみ合わせとは、上下左右合わせて28本の歯が複雑に、綿密に、また調和を以って接触している状態です。
口の中はとても敏感で、髪の毛一本口の中に入っても違和感や不快感が生じます。かみ合わせも同様で、僅かなずれがあれば症状として出ます。また症状が出なくても歯や歯を支える歯周組織、顎関節に大きな影響を与えます。良くない歯並びや悪い習慣、外傷、歯科治療などにより元(良好)のかみ合わせが狂ったり失われてしまったことが日常臨床の中で多くみられます。
かみ合わせは痛みなどの症状以外にも歯の寿命につながるような問題を生じることがあるため、かみ合わせの状態や変化について身体とうまく調和させる必要があると当院では考えています。
かみ合わせについて日常診療する中で考えない日は無いほど重要でかつ難しい問題です。

脳の中枢部(脳幹)からの指令により筋肉が動き、そのリズム性のある筋肉運動が噛む行為です。 リズム性とは、噛むためにあごを閉じて食べ物をつぶし、再度噛んでつぶすためにあごを開けて舌と頬で歯の上に食べ物を乗せまたあごを閉じて噛む時は舌と頬を歯の上からどける、という一連の運動をいちいち考えることなく無意識で行っていることを指します。餅つきで餅をこねた人が手を臼から離したらつく人がペッタンとつく、再度こねてはつくの連続と似ています。このタイミングが少しずれた時に頬や舌を噛むことがあります。
従って噛むことはこれらを無意識で使う(鍛える)、衰えさせない効果があるのです。 口は脳からの命令で動いていますから、噛むという行為は脳への刺激となり、脳機能の活性化や認知症予防効果があるとされています。
運転中の眠気防止にガムを噛むのもこうした理由です。
よく噛まないことは筋肉やこうした機能において、子供は発達、高齢者は維持ができないことにつながります。
また噛む筋肉や顔の表情筋力の低下、感情表現や会話・咀嚼能力の低下、唾液分泌低下による味覚の低下や虫歯や歯周病の発症、舌の筋力低下による誤嚥性肺炎の発症などマイナス面ばかりです。
こうした噛む行為を実現するのが歯の噛み合わせです。

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噛み合わせと歯並び

「歯並びが悪い」=「噛み合わせが悪い」ですが、歯並びが良くても噛み合わせが悪いことはあります。噛み合わせとは上下の歯と歯の接触状態ですので、きれいに並んだ歯並びでもちゃんと噛み合っていない、歯同志が強く当たり過ぎている、歯同志の当たる場所が悪いことはあります。こうした現象は天然の歯にもありますが、被せものなどの人工の歯に多く見られます。

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噛み合わせ治療に関する当院の考え方

院長カウンセリング

当院の噛み合わせ治療は歯の異常な生え方や歯並びを除くと、詰め物や被せ物などの人工物の噛み合わせ修正を第一に考えており、極力ご自分の歯質を削らないでベターな噛み合わせを作ることに主眼を置いています。ここでベストと言わないのは、美しさと同じように上を見たら限りがないことと、削った歯は二度と戻らないため噛み合わせを合格範囲内に収めご自身の歯への介入を最小限に抑えたいことが理由です。
かみ合わせを治すことと極力歯を削らないことの両立が大切だと考えています。
そのため歯並びの悪さによる噛み合わせの悪さを治すには噛み合わせ治療ではなく、歯そのものの位置を修正することでいい噛み合わせが得られる矯正治療が適していると思います。噛み合わせ治療では歯の位置を修正することができないため、獲得できる噛み合わせに限界があることと、歯を削る量や治療本数が多くなるからです。
ただしすでに前歯に差し歯などの人工の歯が入っており、奥歯の噛み合わせに問題がない場合は前歯の人工の歯を作り直すことで前後的な噛み合わせの悪さを修正できる場合もあります。奥歯の人工の歯に問題がある時も同じです。しかしその場合でもあごの動きや関節と前歯の形や位置が調和しているかどうかを仮の歯を使って確認する必要があります。
また個人個人遺伝的や発育環境、生活習慣などにより持っていらっしゃるものが違い、さらに噛み合わせの問題による被害程度も個人差があります。そのため歯やあごの骨などの個性の範囲内で、受ける被害が少なくなる噛み合わせをゴールにすることを症例ごとにご提案しています。
噛み合わせの不調和が起こった時期を伺うと、歯科治療がきっかけになっていることが得てして多いため、まずそこを見ることにしています。

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噛み合わせが悪い場合とその種類

前後の噛み合わせが悪い場合

前後の噛み合わせの悪さは出っ歯や受け口などをご想像され、前歯の前後的な噛み合わせの悪さとお考えになられると思います。しかしそうした歯並びは奥歯の噛み合わせもズレていることが多いのです。また歯のでこぼこ(叢生・乱杭歯・八重歯)も前歯の問題と考えられがちですが、実は奥歯の前後的な噛み合わせの悪さを含んでいるケースが多くあります。そのためこのような歯並びはお口全体で噛み合わせを考える必要があります。
出っ歯、受け口の原因や矯正治療の詳細は「 歯並びを治したい」をご覧ください。

左右の噛み合わせが悪い場合

成長過程で起こる、あごの骨の左右的な成長の不均衡、乳歯の虫歯や喪失で左右片側だけ6歳臼歯の萌出位置が前詰まりになった、永久歯の萌出方向や角度、位置に左右片側だけズレが生じた、左右片側だけ歯が完全に生えず途中で止まったなどが原因で歯並びや噛み合わせの左右的アンバランスが生じることがあります。
成人で起こる原因は、虫歯や歯の喪失を放置したため隣の歯の移動や傾斜、噛み合う歯の出っ張りが起こった、被せものなどの人工の歯の形・位置・噛み合わせの問題、などが考えられます。

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噛み合わせが悪いとどうなってしまうのか?

ハサミの二つの刃がピッタリと合わさっていなければ切れないことと同様に、噛むという行為は上下の歯がしっかりと合わさっていない悪い噛み合わせでは食物の粉砕能力が落ち、味覚への影響、唾液分泌量の低下による虫歯と歯周病の発症にもつながってしまいます。
そして先ほど述べた脳機能の活性化や認知症予防効果などの恩恵を受けられなくなります。
また歯の噛み合わせは骨格の一部として身体のバランスを保つ機能があり、歯の噛み合せが悪いと肩こりや腰痛、頭痛などになりやすい傾向にあります。
さらに神経の無い歯や歯質が薄くなっている歯など脆くなっているところが壊れてさらに治療が大きくなる恐れがあります。また悪いかみ合わせで噛み続けると顎の関節を痛めて顎関節症になることもあります。
噛み合わせの悪さを放置すると、その状態を身体は取り込もうとして他の歯の噛み合わせまで狂ってしまうことがあり、治療ゴールの設定と治療自体が難しく、また大きな歪みに発展すると現代の医療では取り戻すことはできません。

このような狂いや不調和は自然に治ることはない悪化の一方で、今は大した問題でなくとも将来には歪みとなって歯の短命化、咀嚼能力の低下、文頭に述べた脳機能などの問題につながっていきますので、後になって解決できる軽い事柄ではないことをご理解いただきたいと思います。
噛み合わせも含めた歯の働きの詳細は「意外と知られていない歯の働きとかむこと」をご覧ください。

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突然噛み合わせが悪くなることはあるのか?

矯正治療に期間がかかることからご理解いただけると思いますが、歯は急には動かず急激な噛み合わせの変化は一般的には起こりません。例外は外傷、詰め物や被せ物など歯の人工物の治療、歯を削る治療です。
しかし実際には日々のわずかな変化であっても、その蓄積が一線を超えた段階である日突然変化に気づくことはあります。こうした緩慢な変化で噛み合わせを悪くする可能性のあるものは、歯周病、親知らずの萌出、爪を噛む・頬杖をつく・舌を常に歯に押し付けるなど歯の移動に関わる悪い習慣です。矯正治療は常に弱い力を一定方向に継続してかけ続けることでこの緩慢な歯の変化(移動)を利用した治療です。

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当院の噛み合わせの治療方法について

まず最初に噛み合わせ検査やレントゲン撮影、お口の写真撮影を行い、問題点の把握をします。
続いて現在抱えておられる問題と将来起こるであろう問題、最小限の医療介入などを勘案しながら治療計画を立て、メリットとデメリットと共にご説明した上でご納得が得られれば治療に入るプロセスです。
問題点が個人によって全く異なるため、一律の治療内容はなく全てオーダーメイド治療になります。
噛み合わせは噛んだ時だけでなく顎を動かす時の上下の歯の接触状態が非常に重要です。
そうした噛み合わせ問題の原因が被せ物などの人工物にある場合で調整では不十分な場合は、よく噛めて歯の寿命に貢献するために他の歯との調和を取ることを目的に再製作をお勧めする場合があります。
当院の特徴はその歯だけでなくお口全体のバランスを重視している点と、最小限の医療介入を目指していることです。私が自分自身の噛み合わせが原因で症状に苦しみ、専門医には一生治らないといわれ、自分の事ですから色々噛み合わせの勉強をしてきました。この世にはたくさんの噛み合わせの理論・理屈がありますが、たくさんあることはまだ十分にわかっていないことの裏返しでもあります。試行錯誤した後にたどり着いたのがそうした理論・理屈を使いながらも、自然への畏敬の念からその方の個性の範囲内で問題が起こりにくいゴールへの最小限の医療介入でした。
噛み合わせ治療を目的にお越しになられる方々の中には、どんな症状でも噛み合わせ修正で治ると勘違いされておられる方がいらっしゃいます。当院の方針が前述した個性範囲内の最小限の医療介入であることと、口周辺の症状であっても噛み合わせの問題でないケースや精神的・心理的要因が大きいケースも散見され、噛み合わせ治療では現在抱えておられる問題が解決しないことがあることを予めご了解ください。

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噛み合わせの治療の費用について

現状の被せ物などの調整などでいい噛み合わせが獲得できる場合の噛み合わせ治療費は¥63,800です。
しかし実際には今お口に入っている噛み合わせを悪くしている被せ物などの人工の歯の再製作治療費だけをご負担いただくケースがほとんどです。