噛み合わせと歯並び

歯とかみ合わせ

20年ほど前から歯のかみ合わせや噛むという行為自体に興味を持って一般的なむし歯や歯周病と違った視点で歯や口の中、顔貌、姿勢を見るようになりました。
見る視点が違うと見えるものや気づくものが違ってきます。
かみ合わせが歯やそれらを悪くする原因の一つだと理解していても、視点が違うと対応の仕方が変わってきます。

ただ難しいのはむし歯や歯周病はご本人が目で見て確認できる病気ですが、かみ合わせは何かが壊れているわけでもないのでかみ合わせを見る目がないとご説明してもわかっていただけない点です。
かみ合わせで損をしないように、得をする人になっていただきたく書いたページです。

かむこととは?

かむこととは?

かむこと=食物を粉砕すること=栄養をとること、それだけでないことが最近の研究で明らかになってきました。
『かむ』という行為は、身体のバランスを保つ機能として働き、人間として健康で生きていくために必須であること、また血液の循環量の増大にも貢献し、さらに肥満や認知症の予防など、歯科に限らず多方面からその効果が言われています。
かむという行為、それを支えるのは、歯のかみ合わせです。 かむ能力だけでなく、あごへの負担、肩こり、頭痛、腰痛など身体との関連も考えられています。
さらにむし歯や歯周病、ひいては歯の寿命にまで影響をおよぼすのです。

食物をかむと満腹中枢が活性化されて食べたい気持ちが抑制されます。
つまりよく噛めばかむほど少ない食物で満腹感が得られ、肥満の防止や健康的なダイエットになるというわけです。さらに内臓脂肪の減少効果もあります。逆に軟かい食物をろくに噛まずに飲み込んでいると、満腹感が得られず食べ過ぎて肥満の原因になってしまいます。

さらに、よくかむことが老化の防止に役立つといわれています。
かむということはなんといっても毎日のことですから、最も取り組みやすい健康増進法、そしてアンチエイジングではないでしょうか。

かむことでどんなメリットが…

かむことでどんなメリットが…

老人病院で歯の治療をしたり、入れ歯を入れていない認知症の人に入れ歯を入れたとたん症状が軽くなったり、寝たきりの人が歩き始めたという報告が歯科や医科からも多数出てきています。
かむことが頭の血液循環も良くするとの報告もあります。
さらに、かむことで唾液の分泌量が飛躍的に増えます。
唾液の働きは、一般に知られている消化・吸収効率の増加だけでなく、口の中の細菌や食べカスの洗浄、細菌やウィルスの抑制、傷ついた粘膜の修復など、人は大きな恩恵をたくさん受けているのです。
「しっかりよくかんで食べなさい」と昔からいわれていますが、かみ応えのある食物を時間をかけてゆっくりとかんで健やかな人生を送りたいものです。
こうした『かむ』という行為を支えているのが、歯とその『かみ合わせ』です。

かみ合わせによるトラブル

かみ合わせによるトラブル

歯一本が変な位置にあったり、歯を抜きっぱなしにして他の歯が傾いていたりすると、かむ力を一手に負担せざるを得ないような強い力が一部の歯にかかったり、またあごを動かしたときいつも引っかかったりして、強い力で歯を揺さぶるようなことが起きたりします。
若い時は歯や骨が丈夫でそれらに耐えられたとしても、年齢とともに許容力が狭まり、また長い期間いじめられ続けていたのでいつか歯や骨の限界を超えてしまいます。限界を超えたものが、病気となって現れるのです。

この揺さぶりや強い力がかかる歯に、「しみる」「痛い」などの症状やヒビ割れなどの障害を起こしたり、むし歯になることもあります。
また、その歯を支えている歯ぐきや骨に負担がかかって炎症が起き、化膿して骨が溶け、最後には歯がグラグラになって失ってしまいます。
またこれらの現象は歯周病(歯槽膿漏)を併発しているこが多く、歯周病だと勘違いしていくらがんばって歯磨きをしても治らないことになってしまいます。
かみ合わせが歯の寿命を左右するといっても過言ではありません。

あごの力を抜いて頭を傾けると、上下の歯の当たり方が変わるのがお分かりいただけると思いますが、悪いかみ合わせが原因で頭が傾くと、頭を支える首や肩の筋肉が緊張して固く張ってしまい、ただでさえ狭い首の中を通っている血管や神経を圧迫するようになってしまいます。
こうした筋肉の緊張により一部の高血圧が引き起こされるのではと考える説もあります。肩こり、偏頭痛、首のこり、後頭部のこり、背中のこり、腰痛、などの不定愁訴と「かみ合わせ」の因果関係も研究が進んできています。正常な噛み合わせがこうした問題を防いでいます。

髪の毛一本を噛んでもわかる位、人のかみ合わせは敏感なもの。
さらにあごは前後、左右、そして上下、さらに回転しながら複雑な動きをするもので、カチカチ単純に噛んだだけではわからないことが多いのです。
こうしたことから、ちょっとした不具合が色々な問題を引き起こしてしまいます。
最先端のインプラント治療、入れ歯や人工の歯を作る補テツ治療、歯を動かす矯正治療、歯周病の原因となり進行を助長するもの、こうした全てに共通するのが、『歯のかみ合わせ』です。歯並びの問題はかみ合わせの問題でもあります。
かみ合わせに問題があれば、どんな話題の治療であっても長持ちせず、歯の寿命も左右され、その努力が水疱に帰すことは想像に難くないでしょう。

このように歯の寿命、歯周病、むし歯、などと大きな関連があり、快適な生活を維持するためには避けて通れないものが『歯のかみ合わせ』です。
かみ合わせで病気になり、歯科治療は人工的な代用物でかみ合わせを修正して終わることから、『かみ合わせで始まり、かみ合わせで終わる』といっても過言ではないのです。
かみ合わせで得をする人になっていただきたいと思います。

かみ合わせによる問題は、紙面の都合上詳しくは別に譲りますが、「食事の時にものをかめればいい」それだけでは身体にも人生にも不足なのです。噛めることと噛み合わせが正しいことは同じではないのです。

噛み合わせと歯並びの関係

歯並びが悪いことは歯の噛み合わせが悪いことになりますが、一見歯並びが良くても噛み合わせが悪いことはあります。
それは歯並びの良し悪しは目で見てわかる大きなレベルですが、噛み合わせはミクロン単位の極小さなレベルの問題だからです。
歯並びに関するお話しをさせていただきたいと思います。

虚弱体質の原因となる歯並び

歯並びが悪いまま放置しておくと「鼻づまりがひどい」「姿勢が悪い」「頭痛もちになる」 「肩こりがある」「元気がない」などの症状が出ることがあります。歯並びが悪い場合、歯がうまく噛み合わないため、食物が十分に噛めず、そのまま飲み込んでしまう習慣がつきます。 その結果、胃の負担が大きくなり、慢性的な胃腸障害により、虚弱体質になりやすくなります。
歯並びが悪いままに放置すると、顔かたちにも種々の変化が起こり、受け口、出っ歯などで劣等感を持ち、 消極的な性格になる場合がしばしば見受けられます。       

歯並びによる損得

歯並びを治すと、大変明るい積極的な活動をするようになったりと、心理的な効果も見逃すことができません。一方、歯並びが悪いと、食べかすが歯につきやすく、しかも上手に歯を磨くことが困難になってしまいます。

したがって歯並びの悪い人の特徴は虫歯になりやすいこと。 歯肉(歯ぐき)にも適度な刺激がなく、逆に繊維質の食物が歯につまって歯肉に食い込んだりして出血しやすく、赤みを帯びてぶよぶよした歯肉になり歯肉炎、それが進行して歯周病で顎の骨が溶けるなど色々な病気にかかりやすくなります。 
八重歯などは清掃が不十分になり、虫歯になる確率が大変に高くなります。

その結果歯を抜いてしまう必要が生じ、若くして入れ歯をされておられる方もいらっしゃいます。歯を失えば少なくなった歯で同じ仕事をこなさなければなりませんので、今まで以上残った歯には負担がかかり、歯の寿命を短くしてしまう懸念があります。

お口は食物の入り口、栄養を十分に摂れないで長生きする動物はいません。 歯並びを良くすることは、健康管理、快適な人生のために重要なことなのです。

アゴの骨が小さい子供の歯並び

最近の子供の体型が以前に比べて変わってきていますが、その変化は体型だけでなく身体全体、そして心にも現れているようです。食や情報、考え方や価値観の変化、生活様式の欧米化による変化と考えられています。

歯科的側面では子供のアゴは、『噛む』刺激によって正常に発達します。ところが、噛み応えのない軟かい食べ物が多くなってきた現代の食生活では、『噛む』ことの不足によってアゴの発達不足(アゴの骨が小さい)が問題になっています。
噛めないことからの「好き嫌い」や、噛むのに時間がかかり噛むのが面倒になってさらに噛み応えのない軟かい食物を好む「嗜好」に拍車がかかる傾向にあります。

アゴの骨が小さいと歯が正常に並んで生えるスペースがなくなります。そうなるとまっすぐに生える歯が少なくなり、全部の歯が傾き場所を譲り合うように生えて、上下の歯がまともに噛み合いません。これでは見た目に悪いだけでなく虫歯や歯周病にかかりやすく、また噛むことの能力が劣ってしまいます。
人間も動物ですから、これでは成長発育に必要な栄養摂取に偏りができてしまう危険性があります。さらに歯が傾いて生えるために、噛む度に歯を横から倒されるような無理な力がかかって骨の吸収が起きやすくなり、歯の寿命も短くなってしまいます。

歯みがきをしっかりしても、デコボコが大きすぎて歯ブラシの毛先がまともに当たらない場所が多く残って虫歯や歯周病にかかりやすくなるのをご理解いただけると思います。
どうせ大人の歯に抜け替わるのだからと乳歯を軽く考える方がいらっしゃいますが、乳歯の時期は成長発育の真っ只中で噛むことが最も重要な時期ですし、永久歯は乳歯をガイドにして生えてきます。ですから乳歯の問題は永久歯の問題となり一生持って行く問題なのです。
今回お話ししたように歯並びや噛み合わせに関わる大切なものですから、乳歯を大切にしてあげて下さい。

部分的な矯正治療によるかみ合わせ治療

お口全体の矯正治療だけでなく、特定の場所だけを治療する小規模で限定的な矯正治療もあります。 小数の歯が倒れていたり、歯と歯の間に隙間がある症例や、歯を抜いたままにしたために奥歯が手前に倒れこんできた症例などが対象です。

こうした部分的な歯並びの悪さは外見の問題だけでなく、そうした歯や他の歯の寿命を短くしてしまうことがあります。むし歯や歯周病にもかかりやすくなります。
こうした問題を修正する一つの方法が部分的な矯正治療です。
矯正治療は歯並びを治すことが目的ですから、結果的にかみ合わせの治療にもなります。

写真の右側の奥歯がㇵの字に手前に倒れこんできていました。手前の歯2本を抜きっぱなしにしておいたためです 。このままではこの歯はかむ度に揺すられてさらに倒れ、最後には失う可能性が大です。

そこで奥歯の範囲内だけに矯正装置をつけて一番右の歯を緑の矢印のように右側に起こしました。
そして歯と歯の距離が広くなった時点でその間にインプラントを2本入れた症例です。
治療前は少しぐらついていた奥歯も治療後にはぐらつきがなくなり、硬い物でもかめるようになりました。

このような部分的な矯正はかみ合わせを改善し、残った歯の寿命を長くする大きな意義があります。
また部分的な矯正のために口全体の矯正治療と違って治療期間も短く、矯正装置をつける範囲も狭く、また治療費も少額になります。

かみ合わせで、身体が変わる

歯は単にかむことだけのためにあるのではありません。
私たちはその恩恵を知らない所でたくさん受けています。
そして歯のかみ合わせがその歯の寿命を左右するといってもいいほど重要なのです。悪いかみ合わせは身体にまで及びます。
まだ歯のかみ合わせの重要性があまり知られていなかった時代に、ご来院された患者さまに、かみ合わせと歯、あご、身体の関係とその治療法などをご説明する目的で院長高岡が書いた小冊子です。

以前は印刷をして来院された患者さまに手渡ししておりましたが、時代に合わせてホームページでお読みいただけるようにしました。
23ページと多少分量がありますが、ご興味がおありの方はどうぞ。

 <<歯のかみ合わせ小冊子はこちらへ>>

患者さまの声

当院ではさらにいい医院を目指すために治療後などにアンケートをお願いしております。
いただいた来院前の不安や不満、治療後の感想など患者さま目線での多くの貴重なお声をいただきありがとうございました。
また受診前のご不安の解消や治療へのご理解をいただくために、その趣旨にご賛同いただけた方々のお声を「患者さまの声」として以前よりホームページに掲載してまいりました。
しかし厚生労働省のガイドラインの変更により治療後の感想をホームページに掲載することができなくなりましたので、この場所に表示されていた「患者さまの声」を非表示とさせていただくことをご理解ください。
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