虫歯の原因と予防法

虫歯は感染する

オランダの研究では、キス10秒間で8,000万個もの細菌が口から口へ移り、何度もキスをする2人は最終的に同じ細菌を持つようになったそうです。またキスの習慣がある北欧でもペットからの虫歯菌の感染報告もあります。口の中は適度な湿度と温度に保たれた細菌にとって居心地のいい環境であるため700種類以上の細菌が生息しています。

人の体には免疫があり無用にキスを恐れることはありませんが、ご自身の虫歯や歯周病予防のためだけでなく、虫歯は感染するため母子感染など身近な人への感染を考えてご自分のお口の中の細菌の数を日常から減らしておくことは大切です。

マウスウォッシュなど口をすすぐだけでは10分後には元の細菌数に戻るほど繁殖力が旺盛です。そのため、細菌が生息しにくい環境、すなわち細菌に餌を与えないことが重要です。
餌は主に食べかすですから、プラークと呼ばれる粘ついて取りづらくなる前に、食後に歯磨き、フロス、歯間ブラシなどで食べかすを取り除くことが最も有効な方法です。また定期的なメンテナンス(クリーニング)も効果的です。

歯磨きしているのに虫歯になるのはなぜ?

あなたの周りにいつも歯磨きしているのに虫歯がよくできる人や、歯磨きは熱心でないのに虫歯にならない人がいないでしょうか。これでは「虫歯の発生に歯磨きは関係ないんじゃないか?」と思いませんか?

あなたは遺伝子の違いでこの差が生まれたと思われますか?
全く同じ遺伝子を持った一卵性双生児でこの差が出たり、虫歯にかかりにくかった人にある時期から急に虫歯が多発する事実を遺伝子では説明できません。何か他の要素が関係しているのです。

この両者の違いは、口の中の虫歯原因菌の質と量の違いだと私は考えています。
虫歯予防に歯磨きは一定の効果はあるでしょうが、それだけではないと考えているのです。
歯科界一般ではまだ「虫歯の予防には歯磨きが一番!」と叫ばれています。
そういう意味では現段階では私の意見は非常識かもしれませんが、北欧の虫歯原因菌の遺伝子を調べた研究ではこのことが証明されています。

虫歯の原因について

先ほどお話ししたように、虫歯ができるのは歯磨きが不十分になっただけではありません。
しかし決して歯磨きが不十分でいいと誤解されないでいただきたいと思います。
虫歯予防に歯磨きが有効であることは間違いありませんし、成人の歯をなくす最大の原因である歯周病予防には欠くことのできない非常に重要なものだからです。

むし歯はどうしてできるの?

硬いものでも平気で噛めるこんな丈夫な歯がどうして虫歯になると穴が開いたりボロボロとかけたりするのか不思議ではありませんか?
人の身体は外界のいろいろなバイ菌から身を守るような構造になっています。逆に何万年も前から進化の過程でこの構造を獲得してきたからこそ今も人類が種を守ってこられたともいえるでしょう。

切り傷から感染するように、人の体は皮膚の表皮で体内への細菌の侵入を防いでいます。お口の中で表皮と同じように細菌から歯を守っているのがエナメル質という歯の表面の歯質です。人体で最も硬い物質ですが、酸性雨による岩の浸食のように硬い歯でも虫歯菌の出す酸によって溶かされます。その結果が虫歯です。

虫歯にならないために細菌の栄養源となる食べカスを残さないように歯磨きをし、プラークと呼ばれる細菌の塊をハブラシで取ることを予防の第一としています。原理から考えれば、細菌が酸を産生するまでの24時間以内に完璧にそれをこなせば虫歯にはなりません。

虫歯菌の作るプラークは粘ついて一度歯につけば、マウスウォッシュやリンゴを食べても落とすことができません。そのためプラークができる前に丁寧に歯磨きをして菌の栄養源である食べかすを除去する必要があるのです。これが虫歯予防に歯磨きのお話しをする理由です。

甘い飲み物の危険性

砂糖と虫歯が関係することは昔から言われていますが、過度の摂取は健康にも悪影響を及ぼします。その一つが歯周病と相互に関連する糖尿病です。
ジュースやソフトドリンクなど糖分を含んだ飲料を1日1杯、水や無糖コーヒー、無糖紅茶に置き換えると糖尿病発病リスクが最大25%減るとの報告があります。
1杯のチョコレートミルクのカロリーは一般的な成人が1日に必要とするカロリーの9%に相当し、350mLの加糖炭酸飲料は7%を占め、甘味を加えるための砂糖はカロリーになるだけで栄養にはならない食品です。世界保健機関(WHO)は「砂糖摂取を制限すべきだ」と提言しています。

砂糖の適切な摂取量とは?

世界保健機関(WHO)は虫歯や肥満を予防するための砂糖摂取量に関する新ガイドラインを発表しました。それによると1日の摂取カロリーに砂糖などの糖類が占める割合は10%未満に抑えるべきで、5%未満ならなおよいとのことです。5%とは平均的な成人なら砂糖約25グラムに相当し、ティースプーン約6杯分になります。炭酸飲料1缶に含まれる砂糖は約40グラムといわれていますので、休憩時間のちょっと一本でWHOの基準を超えてしまうことになります。
飲み物や料理、マヨネーズ、ソース、ケチャップといった調味料にも砂糖は含まれており、さまざまな形の「隠れ砂糖」を勘定に入れると、現代の食生活でWHOのガイドラインを守るのは結構大変です。
近年欧米では喫煙に続いて塩分摂取、続いて砂糖に対する規制方向にあります。

虫歯とストレス

歯磨きの問題だけで虫歯が発生するとは私は考えていません。
歯に食いしばりや歯ぎしりなどの強い力がかかると、眼では見えない細かなヒビが歯に入り虫歯になると考えています。食事の際に歯同士が接触する時間は17分程度の短い時間ですし、硬い物をよく食べる程度では起こりません。そんなことで歯が悪くなるようでは進化の過程で人類は今存在できていないのです。それ以外の歯にかける力が問題なのです。

精神的なストレスなど心の不安定を脳が回避するために、噛むことも含めた歯同士の接触行為を無意識で行うと考えています。やけ食いなどもその一種です。
ストレスからの回避策の一つが適度な運動です。運動後の気持ちよさはβエンドルフィンやドーパミンなどの快感ホルモンが分泌されるためで、同時にコルチゾルというストレスホルモンは減少します。
運動で虫歯が減るとは直接結び付きにくいものですが、運動は身体と心、歯にもいいことなのです。

虫歯予防について

虫歯予防の基本は食後の丁寧な歯みがきやフロス(糸ようじ)、歯間ブラシなどで清掃して食べかすを残さないことです。
虫歯を防ぐ働きのある唾液分泌が低下する就寝時間帯は危険ゾーンですので、特に就寝前の歯みがきはしっかりとされることをお勧めいたします。
これからこの他に虫歯予防に貢献するお話しをしてまいります。

虫歯予防にフッ素

虫歯予防にフッ素が有効なのはご存知だと思います。日本は斑状歯の問題から欧米よりフッ素利用が遅れており、欧米より虫歯発生率が高くなっています。

2分以上300ppm以上のフッ素が歯の表面に作用すれば虫歯を抑制できるとされていますが、日本では最近まで歯磨き剤の中のフッ素配合が1000ppm以下と低く規制されていました。しかし最近厚生労働省の認可基準が見直され高濃度の商品も市販されるようになっています。
この必要量のフッ素を作用させるためには、歯ブラシに2cm程度の歯磨き剤(2g)が必要です。

虫歯予防とキシリトール

虫歯予防のためにフッ素以外にもう一つお勧めすることがあります。
それはキシリトールです。
前にお話しした虫歯原因菌の量をかなり減らすことと、糖の代わりにキシリトールを取り込んだ虫歯菌は虫歯の原因となる酸を作れなくなる2つの効果があります。
摂取し過ぎるとお腹がゆるくなりますが、虫歯予防には大量には必要ありません。
また巷ではほんの少しでも含まれればキシリトール入りと表記されていますが、できれば100%キシリトールの商品をお使い下さい。

マウスウォッシュやアルコールを含んだ洗口液が市販されていますが、一時的に除菌しても10分もすれば元通りになるほど細菌はたくましいのです。アルコールによって唾液分泌が減り、虫歯抑制効果が減弱したり、口臭の発生につながるようでは意味がないと思います。

近年除菌・抗菌ブームですが、細菌と闘うための免疫力が低下する懸念と、同時に無害な細菌まで除外してしまうため、除外されて空いたスペースに別の病原菌が新たに入り込む余地をつくることになります。
無害な細菌がいてくれた方が、細菌同士の縄張り争いで病原菌が多くならないのです。
無害な細菌をそのままにしておいて悪さをする細菌に仕事をさせない、それがキシリトールの力です。

妊婦さんにとって耳よりな情報が発表されました。
日本小児歯科学会における岡山大学小児歯科仲井先生の報告によると、キシリトール100%配合ガムを摂取したお母さんから生まれた赤ちゃんは、そうでない赤ちゃんを比べると生後2歳の時点で虫歯原因菌が見つかる確率が24%低いそうです。

虫歯菌感染の確率が最も高い時期が1歳半から2歳半ですから、虫歯予防を考えると意義のある数字です。『虫歯予防は歯が生えてから』と思っていらっしゃる方が大半ですが、実はまだ赤ちゃんが生まれる前の妊娠期から虫歯予防ができるのです。ただガムを噛むだけの簡単なことでいいのですから、お母さんたちには明るいニュースです。継続して3ヵ月以上摂取すると大人にも効果があります。

むし歯ゼロも夢でない、最新の予防

歯を磨いているのにむし歯になる人に、とっておきのお話しです。遺伝や歯磨きの問題を超えて、あなたのむし歯を防ぐことができます。海外の最新むし歯予防のご紹介を交えながら、楽しく予防に取り組めます。

(本文から)歯を磨いているのにむし歯になる!知り合いのあの人は、そんなに歯を磨いていないのにむし歯にかからないなんて不公平だ!
歯が弱い家系なのかな?そういえばおじいちゃんは総入れ歯だったし…。
小さいころからしょっちゅう歯医者さん通い、歯の治療は苦手だし、歯をがんばって磨くしかないのか…。このまま行けば、そう来自分も総入れ歯なのかな?こんな風に考えているあなた、あきらめるのはまだ早いのです。…… 院長高岡が通院中の方に向け書いた小冊子(14ページ)です。

第一章 むし歯になったのはあなたの責任?
第二章 むし歯予防のウソとホント
第三章 歯を大切にするあなたへ
第四章 明日からできる、簡単なむし歯予防
第五章 おわりに

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正しい歯磨きの仕方とは

正しい歯磨きの仕方とは

虫歯や歯周病のの予防に歯磨きが大切なのはご存知にことと思いますし、毎日歯磨きをそれなりの時間をかけて行っていらっしゃると思います。
でもそれは正しい磨き方なのでしょうか?

毎日のことですから、1年で何回歯を磨くことでしょうか。正しい歯磨きを習得すればその数の分だけ人生で得をすることができます。

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